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第23話
『勇樹、パソコンでのメールなんて久しぶりだね・・・』
そんな書き出しで、長いメールを書いた。
携帯での一言二言のメールが当たり前のようになって、
すっかり心の中の思いを綴ったメールを送ることなんてなくなっていたけど、
確か、勇樹と付き合い始めた頃は、毎日のように長いメールを仕事が終わった時間に
送りあっていた。
そんなことをふと懐かしく思い出した。
『勇樹と一緒に過ごす時間を断ち切れずに、また二人の時間が始まって、
前と変わらず勇樹のことを思う私がいることが分かった。
でも、前の私と、今の私が違うって言うことを勇樹に話さなくちゃいけないんだ。
勇樹と終わって、ううん、妻子ある勇樹との寂しさから、私の気持ちが勇樹だけではなくなった。
今、私の心の中にいる男性は、勇樹だけじゃない。
ゴメンね、それを最初に言えなくてごめんね。
ルール違反だったね。
勇樹と一旦けじめをつけてから、私はその男性と生きていこうと思った。
遠い町に住む勇樹、この先会うこともない、会わなければ忘れられる、そんな気持ち。
でも、再会したとき、勇樹を忘れられる訳がないって知ってしまった。
彼も好き、でも、勇樹のことも好き。
なんてひどいことをしているんだろうね、私。
でも、こんな私がここに来て、誰かを選ぶなんて出来ない。
出来ないし、そんなえらそうなことするわけにいかない。
でも、私はこの心の中の気持ちを終わらせることも出来ない。
出来ないから、本当にゴメンね。
それだけしかいえません。
彼と出会う前、勇樹と一緒に過ごす時間だけを心から幸せに思えた頃、
勇樹が結婚していなければ、そんな夢も見たりした。
でも、そんな絆がなくても満足してしまう私も存在している。
勇樹が、勇樹である限り、私は貴方から離れられないのかもしれない。
でも、彼への想いも嘘じゃない。
出会い方が違っていれば、どちらか一方と出会わなければ私は幸せだったのかな。
でも、違うね。
私は勇樹と出会えた事を、本当に嬉しく思うし、その彼と出会ったことも嬉しく思う。
そんな私は、もう、誰といる資格もないのかもしれない。
勇樹、本当にありがとう。』
送信ボタンをクリックする。
画面には「送信しました」の文字。
私の想いは、私にもどうすることが出来ない。
だから、私の出来ることは、どちらの優しさにも甘えないこと…
私は、ポケットから携帯電話を出し、そして、電源をオフにした。
後で、番号を変える手続に行こう…。
勇樹とタクヤ。
タクヤと勇樹。
様々な記憶を手繰り寄せながら、もう、彼らには会ってはいけないと考える。
どちらも選べないなら、どちらを選んでもどちらかもう一方への想いが残るのなら、
私はどちらの手も取るべきではない。
結局、皆を傷つけて、一人になって、それが結末だなんてバカだね私。
人は一体なんのために、人を好きになるの?
自分が幸せになる為?
誰かを幸せにしてあげるため?
私は、何も出来なかったな。
必死に何かをこらえながら、私は静かにパソコンの電源を落とした。
『勇樹、パソコンでのメールなんて久しぶりだね・・・』
そんな書き出しで、長いメールを書いた。
携帯での一言二言のメールが当たり前のようになって、
すっかり心の中の思いを綴ったメールを送ることなんてなくなっていたけど、
確か、勇樹と付き合い始めた頃は、毎日のように長いメールを仕事が終わった時間に
送りあっていた。
そんなことをふと懐かしく思い出した。
『勇樹と一緒に過ごす時間を断ち切れずに、また二人の時間が始まって、
前と変わらず勇樹のことを思う私がいることが分かった。
でも、前の私と、今の私が違うって言うことを勇樹に話さなくちゃいけないんだ。
勇樹と終わって、ううん、妻子ある勇樹との寂しさから、私の気持ちが勇樹だけではなくなった。
今、私の心の中にいる男性は、勇樹だけじゃない。
ゴメンね、それを最初に言えなくてごめんね。
ルール違反だったね。
勇樹と一旦けじめをつけてから、私はその男性と生きていこうと思った。
遠い町に住む勇樹、この先会うこともない、会わなければ忘れられる、そんな気持ち。
でも、再会したとき、勇樹を忘れられる訳がないって知ってしまった。
彼も好き、でも、勇樹のことも好き。
なんてひどいことをしているんだろうね、私。
でも、こんな私がここに来て、誰かを選ぶなんて出来ない。
出来ないし、そんなえらそうなことするわけにいかない。
でも、私はこの心の中の気持ちを終わらせることも出来ない。
出来ないから、本当にゴメンね。
それだけしかいえません。
彼と出会う前、勇樹と一緒に過ごす時間だけを心から幸せに思えた頃、
勇樹が結婚していなければ、そんな夢も見たりした。
でも、そんな絆がなくても満足してしまう私も存在している。
勇樹が、勇樹である限り、私は貴方から離れられないのかもしれない。
でも、彼への想いも嘘じゃない。
出会い方が違っていれば、どちらか一方と出会わなければ私は幸せだったのかな。
でも、違うね。
私は勇樹と出会えた事を、本当に嬉しく思うし、その彼と出会ったことも嬉しく思う。
そんな私は、もう、誰といる資格もないのかもしれない。
勇樹、本当にありがとう。』
送信ボタンをクリックする。
画面には「送信しました」の文字。
私の想いは、私にもどうすることが出来ない。
だから、私の出来ることは、どちらの優しさにも甘えないこと…
私は、ポケットから携帯電話を出し、そして、電源をオフにした。
後で、番号を変える手続に行こう…。
勇樹とタクヤ。
タクヤと勇樹。
様々な記憶を手繰り寄せながら、もう、彼らには会ってはいけないと考える。
どちらも選べないなら、どちらを選んでもどちらかもう一方への想いが残るのなら、
私はどちらの手も取るべきではない。
結局、皆を傷つけて、一人になって、それが結末だなんてバカだね私。
人は一体なんのために、人を好きになるの?
自分が幸せになる為?
誰かを幸せにしてあげるため?
私は、何も出来なかったな。
必死に何かをこらえながら、私は静かにパソコンの電源を落とした。
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