さよならの物語

2005年12月20日 連載
第21話

私は、タクヤのことが大好きで、とても大切に思っている。
それだけは、偽りの無い事実なの。
だから、タクヤへの想いが揺らいでいるとか、少なくなったとかいうことではない。
ただ、タクヤと過ごす前の勇樹への気持ちが、きちんと終わっていなかった。
終わらないままくすぶっていた。
それを私はどうすることもできなかった。
でも、タクヤを裏切ったことからは逃げられないね…。
ごめん、では済まされないよね。

私の目の前でコーヒーカップの取っ手に手を添えたままのタクヤ。
私を見ないタクヤ。
私はタクヤから目をそらし、冷めてしまったコーヒーを口に含む。
タクヤにこんな思いをさせたかった訳じゃない。
勇樹への未練をきちんと断ちたくて、
もう一度勇樹と向き合ってきちんと納得した終わりを迎えたかっただけ。
でも、ほんと、そんなのいい訳にしかならないね。
タクヤからしたら、ただの二股にしか思えないはず。
タクヤはこんな私を許せないはず。

「タクヤ、本当にごめん。浅はかな私はタクヤと一緒にいる資格はないね。」
「・・・。」

何も言わないタクヤを前に、私はなす術もなく、やはりうつむくしかなかった。
そしてどのくらいの時間が経ったのか、タクヤは何も言わず、そして私を見ないまま
席を立ってどこかへ行ってしまった。

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