さよならの物語

2005年11月8日 連載
第16話

「おはよう」から「おやすみ」まで、とった食事も、テレビの番組も、何から何まで同じ。
そんな風にタクヤと過ごした南の島での時間は、文句のつけようがないほどの時間だった。
心の中に、タクヤの存在がしっかりと根付いた感じ。
私は、タクヤとずっと一緒に歩いていける、そんな気持ちで、またいつもの生活に戻った。

タクヤとの時間がまるで雪のように降り積もっていく。
どんどん積もって、今までのこと、勇樹との時間、全てを覆い隠してくれれば、
もう私は何も思い悩むこともない。
このまま、タクヤとの時間を重ねて行きたい。

そんなある日、私の手元に届いた、結婚式の招待状。
差出人を見たとき、心が波打つのを感じた。
それは、私と勇樹との共通の仲間の招待状だったから…。
どうしよう。
今、勇樹に会ってしまって、私は大丈夫かな。
タクヤと重ねてきた時間を揺るがすことはないだろうか。
自信がないなら、不安が少しでもあるなら、行かない方がいいかな。
どうしたらいいんだろう。
嫌いになって離れた訳じゃない、だからこそ、再会したときの私の気持ちが不安だ。
出席か欠席か、いつまでも決められないまま頭を抱える。
でも。
恐れていてはいけない、ここで自分の気持ちを再認識した方がいいに決まっている。
いつまでも逃げていたら、過去にすらできないかもしれない。
だから、今、この時期に勇樹に再会してみるべきかもしれないね。

3週間後に迫った、仲間の結婚式。
落ち着かない気持ちでその日を迎える私がいた。

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