第9話
その日、千葉のとある街へ私達は向っていた。
本当なら仕事を休めるはずの週末、その街での仕事があって、
私は仕事仲間何人かと電車に揺られていた。
その中には、タクヤの姿もあった。
私達の住む街からは見えないはずの海が、電車の窓から当たり前のように見え、
私はタクヤの姿を視界の中に入れたまま、日差しでキラキラ光る海を眺めていた。
家を出てから3時間、電車を降り立ったその街は、勇樹の住む街。
なんの因果か、勇樹の街へタクヤと訪れることになるなんて…。
昨日のメールのやり取りで、勇樹は忙しくて時間が取れないということは分かっていた。
でも、会えるかもしれない、仕事が捗って少しくらい顔を見られるかもしれない
そんな期待を捨てきれずに、私は人々の中に勇樹の姿を探す。
「いるわけがないか…」
小さくつぶやいて、寂しくわらう。
駅前でばったり、なんてことがあったら運命を感じてしまうのに、ね。
小さな望みに心を縛られながら、隣に並んであるくタクヤと言葉を交わす。
これが勇樹だったらいいのにと思ってみたり、
他の誰かと並んで歩くこの姿を勇樹が見て、やきもちを焼いてくれればいいのに、とか
このままタクヤと歩いていったらどうなるか、
勇樹がここから連れ去ってくれないか、そんなことをグルグル考えていた。
揺れる思い。
自分でも行き先の分からない思い。
この勇樹の住む街で、仕事とはいえタクヤと一緒に訪れたこの街で、
なにか賭けをしてみようか。
内容は何だっていい。
もしここで勇樹に会えたら、この先は勇樹しか見ない、とか。
勇樹に会えなかったら、この恋を終わりにする、とか。
そんなものに頼ろうとする私ってなんなの?
自分自身に問いかけながら、青い空の下を歩いた。
その日、千葉のとある街へ私達は向っていた。
本当なら仕事を休めるはずの週末、その街での仕事があって、
私は仕事仲間何人かと電車に揺られていた。
その中には、タクヤの姿もあった。
私達の住む街からは見えないはずの海が、電車の窓から当たり前のように見え、
私はタクヤの姿を視界の中に入れたまま、日差しでキラキラ光る海を眺めていた。
家を出てから3時間、電車を降り立ったその街は、勇樹の住む街。
なんの因果か、勇樹の街へタクヤと訪れることになるなんて…。
昨日のメールのやり取りで、勇樹は忙しくて時間が取れないということは分かっていた。
でも、会えるかもしれない、仕事が捗って少しくらい顔を見られるかもしれない
そんな期待を捨てきれずに、私は人々の中に勇樹の姿を探す。
「いるわけがないか…」
小さくつぶやいて、寂しくわらう。
駅前でばったり、なんてことがあったら運命を感じてしまうのに、ね。
小さな望みに心を縛られながら、隣に並んであるくタクヤと言葉を交わす。
これが勇樹だったらいいのにと思ってみたり、
他の誰かと並んで歩くこの姿を勇樹が見て、やきもちを焼いてくれればいいのに、とか
このままタクヤと歩いていったらどうなるか、
勇樹がここから連れ去ってくれないか、そんなことをグルグル考えていた。
揺れる思い。
自分でも行き先の分からない思い。
この勇樹の住む街で、仕事とはいえタクヤと一緒に訪れたこの街で、
なにか賭けをしてみようか。
内容は何だっていい。
もしここで勇樹に会えたら、この先は勇樹しか見ない、とか。
勇樹に会えなかったら、この恋を終わりにする、とか。
そんなものに頼ろうとする私ってなんなの?
自分自身に問いかけながら、青い空の下を歩いた。
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